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南アルプスの標柱交換

文字の消えた山頂標柱

過酷な山頂環境

標柱は設置から10年以上経ち、劣化が進んでいる。

登頂後の皆さんの写真に添えられる標柱は、長年の風雪にさらされ文字が消えているものもあれば、破損や情報が正しくない物もでてきていた。百名山などの主な山頂の標柱は、静岡県や長野県、山梨県をはじめ、県境を接している行政が設置している。そのような中で私たちが設置した場所は、標柱がない山頂や道標、山林管理上で必要な所、例えば、奥聖岳や西農鳥岳などだ。

その数は約30基にのぼり、更新に必要な部分は80面に及ぶ。

このように標柱の劣化もある中で、私たちは2020年に特種東海製紙㈱南アルプス事業部から分社化し十山㈱となったことから、社名の交換作業を行う必要もでてきた。今回の交換作業には井川山林内で山小屋を運営している㈱特種東海フォレストさんにも協力してもらい、手分けして山頂標柱や道標などの更新作業にあたった。

その標柱交換の様子を皆さんにもお伝えしたい。

雨の中、奥聖岳へ

9月2日、さわら島で時間雨量30mmを超す土砂降りの中で、僅かに晴れ間があったので隙をついてプレートの交換を行った。標高1100mのさわら島ではそのような天候だったが、聖岳山頂は比較的落ちついた天候だった。奥聖岳の山頂標柱は数ある標柱の中でも、劣化が激しい場所で文字を判読するには厳しい状態であり、風雪にさらされる部分は木自体が痩せており段差が出来ているほどだ。

今回の交換は、登りにも雨に降られ下山時にも雨に降られた。そのような中、温かく迎えてくださった聖平小屋の皆さんには感謝申し上げたい。この苦労がありながらも、皆さんの登頂写真に新しい標柱が写っているものを見ると苦労した甲斐があったと胸が熱くなる。

奥聖岳の標柱更新

 

 

快晴の塩見岳へ

塩見岳からのぞむ朝焼け

9月12日の月曜日。朝4時に塩見小屋を出発し目的地を目指した。塩見岳からは赤く焼けた空が広がる。

この周辺に私たちが設置した標柱は、塩見新道の分岐、雪投沢の源頭部、北荒川の旧幕営地だ。塩見新道は分岐の表示。雪投沢源頭部と北荒川付近の標柱は幕営禁止のサインになる。この2か所は、古くはテント場として紹介されていたが、環境省の公園計画で定められたものではないことから、30年ほど前に閉鎖されている。99.9%の方は法律をお守りいただいていることを承知しているが、この付近は熊ノ平小屋から三伏峠小屋までテント場がないことが影響して、明らかにビバークと見受けられないいわゆる闇テントもある。国立公園内のテント場は法律で決められており、自然公園法違反となる。また、付近の植生への影響も大きいことに加え、山小屋運営者による登山道整備に関わる費用も幕営料から捻出していることもお伝えしておきたい。幸い、皆さんのご協力のお陰もあり、雪投沢に関しては以前よりも植生が回復してきている。引き継ぎ南アルプスの豊かな自然を守るために、ご協力をお願いしたい。

 

新たな標柱への挑戦

南アルプスにはまだ山頂標柱がない山がある。例えば、東聖岳が挙げられる。ここは、近年登山マップにも掲載される山となった。バリエーションルートなので迷いやすい道のため山頂標柱が道迷いを防ぐ一助になればと思う。ただし、標柱の設置には大きな費用が必要になる。長野県側にある日清さんも参画されている標柱の様に、今後は標柱交換に民間企業や皆さんの力をお借り出来たらと考えている。行政が設置してくださった標柱も劣化が進み文字が消えている状況だ。その辺りも縦割りではなく、皆で協力して修繕できないか模索していきたい。

今後の標柱プロジェクトにもご期待を。

 

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