南アルプスの生き物たち vol.1
皆さんは、南アルプスと言ったら何を連想しますか?
山頂からの絶景、見事な紅葉などの目の前に広がる大自然が最初に思い浮かぶのではないでしょうか。でも、少し目線を近くに寄せて足元の草花や昆虫などの小さな生き物に目を向けると、その種類の多さや珍しさに小さいながらも南アルプスの大自然を感じてもらえるはずです。2020年の10月に井川蒸溜所が稼働してから2回夏を過ごし、この間に多くの生き物や植物を見ることができました。これらの小さな大自然を少しでも共有したく、不定期ではありますが蒸溜所周辺の景色や生き物たちを紹介していこうかと思います。
南アルプスで出会う様々な生き物
アサギマダラについて
フジバカマに飛来したアサギマダラ 2022年7月沼平付近にて
第一弾は有名どころのアサギマダラを紹介します。
インターネットで調べると1000㎞以上もの距離を移動する渡り蝶で、日本全国に分布するとあります。縁が無かったのか、筆者が暮らす静岡県の東部では数年に1度遭えるかどうかの珍しい蝶でした。ところが、蒸溜所勤務のために南アルプスに入ってから、この蝶の認識が「珍しい蝶」から「普通の蝶」に変わってしまうくらい、よく見かけるようになりました。林道沿いにフジバカマが咲いているのもアサギマダラが多い理由の一つと思われます。
南アルプスでの記念すべき初遭遇
蒸溜棟裏手のヒノキに飛来 2021年7月
認識が「普通の蝶」になったとはいえ飛んでいる姿をみかけるのがほとんどで間近でじっくり観察できる機会は滅多にありません。観察の機会を増やせればと思い2021年の秋に、蒸溜所の玄関前に林道のフジバカマを1株移植して2022年の7月に花を咲かすことに成功しました。また、2022年の3月に種も撒いており、熟成庫付近でも1株花が咲いたのを確認。この調子でフジバカマを増やして、いつかは井川蒸溜所の見どころの一つにしたいと思っています。
井川蒸溜所とフジバカマ 2022年7月