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ウイスキーを学ぶ ~長濱蒸溜所篇~

ウイスキー製造を開始して2年半が経ちましたが、私たちのウイスキーは発展途上。まだまだ勉強することがたくさんあります。さまざまな蒸溜所と交流を深め、刺激を受け、より井川蒸溜所らしいウイスキーづくりに活かしたくて、滋賀県の長浜浪漫ビール㈱長濱蒸溜所さんを訪問させていただきました。

長濱蒸溜所見学スタート

知恵と工夫で既存設備を活かした蒸溜所

長濱蒸溜所さんは、2016年に稼働したクラフトウイスキー蒸溜所です。国際的な品評会で高く評価されている実力派です。また、数多くの製品バリエーションを揃え、販売手法含め様々な工夫を凝らしておられます。

製造設備は、なんとビアレストランの建物の中にあります。糖化と発酵の工程を既存のビール製造設備で行うなどの工夫がされている一方、限られた空間に複雑な配置でぎゅっと収められているため作業される方々のご苦労がしのばれます。国内最小規模の設備と造り手の皆さんの努力を目の当たりにしました。

ウイスキーに欠かせない熟成庫は、市内の廃校になった小学校や廃道トンネルを利用しておられます。小学校跡の熟成庫は、地域の有休資産を有効活用しようというお考えによるものだそうです。元校舎に入ると、教室や職員室、廊下にも所狭しと、熟成中の樽や空き樽がダンネージ(桟積み)の2段積みで保管されています。フォークリフトが使えない環境でありながら、ここでも様々な工夫と努力を感じました。

そして、琵琶湖に浮かぶ小島、竹生島の熟成庫も見せていただきました。竹生島までは長浜港から観光船で約30分。熟成庫は船着き場のすぐ先にありますが、決して便は良くありません。「なぜここに熟成庫を?」と聞くと伊藤社長は「面白そうだから、やってみようという話になった」とのこと。船着き場から熟成庫までは段差があり、樽を運ぶのは大変だったそうです。「船から樽を降ろそうとした時、船が動いて股裂けになって落ちそうだったよ・・・」と伊藤社長は笑顔で話され、ご苦労を笑い話に変えてしまう明るさと前向きさが長濱蒸溜所のウイスキー造りに反映されているな、と感じました。竹生島セラーの原酒は大弁才天のお膝元で、きっとすばらしい味に仕上がるものと思います。

樽の種類に驚愕!

柔軟な発想でウイスキーに新たな価値をつける

長濱蒸溜所さんを見学させていただき、「私たちも負けていられない」と思いました。井川蒸溜所は人里離れた山奥で不便なことも多いですが、その不便さを楽しみながらウイスキーづくりができるとポジティブに考えたいと思いました。

また、長濱蒸溜所さんは、熟成年数という価値だけではなく、様々な樽の特徴を活かしたシングルカスクや海外原酒とのブレンド、他業界とのコラボを通じて、ウイスキーの楽しみ方の幅、ファン層の幅を広げていることがわかりました。私たちは「長期熟成」を目指しながら、井川蒸溜所らしい楽しみ方、価値を創出していきたいと再認識しました。

私がこの視察で一番驚いたのは、レストランの売店にあった「追いピート」スプレー。ピートとはモルトを乾燥させる熱源の燃料ですが、ウイスキーではピート香の強弱が個性を左右する大切な役割を果たします。このスプレーは、ハイボールの味変や料理の風味付けに使うもので、ヘビーピートのモルトウイスキーを飲むのではなく調味料として使ってもらおうという斬新な商品です。

また、レストランはお客様目線の斬新なレイアウトと陳列。導線を潰してまでもお客様へのライブ感を重視したつくりは、まさに逆転の発想、とても参考になりました。

オリジナリティ溢れるアイデアと体験が満載の長濱蒸溜所。「面白そうだから、やってみよう」という柔軟な発想と「一醸一樽」のこだわり、私たちは多くのことを学ばせていただきました。

美味しさと楽しさが満載!

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